『佐賀大学メールマガジン第25号』“学長からのメッセージ”原稿
国際学部構想について
今回は佐賀大学が掲げる4つの目標の一つである国際化の推進について私の考えを披露しましょう。
現代の情報網、交通網の発達は世界的な規模で私たちの日常生活のあり方に大きな影響を与えています。学問の世界も同様です。学問、今流に言えば「知の創造と継承」は多様性に富んだものです。しかも、学問分野は縮小することはなくどんどん広がっていきます。
また、学問は誰もが納得する論理とか、理論とか、普遍性を追及するものです。そして、学問の生み出した知恵が世界の人々の財産になり、人は成長し、それに相応しい社会が出来上がると思います。近年、学問の共有化、国際化を進める環境はコミュニケーションの発達によって十分に整備されてきました。
20世紀は科学技術の分野の国際化の時代でした。科学技術は私たちに豊かな生活をもたらしましたが、同時に民族、国家の間の紛争、環境問題などの主役を演じています。私は学問の国際化が科学技術の分野に偏ったためではないかと考えています。21世紀は自然と人間が共生できる調和のとれた学問の国際化ではないでしょうか。
私は学長に就任してから頑固に文系分野の国際化を唱えてきました。文系には国際化出来ない分野もあるとの声も聞きますが、理系と同様に文系の教育研究はすべて国際化の対象になります。例えば日本文学は日本だけでなく世界の多くの大学で研究され教育も行われています。実際、佐賀大学で英文学の教育研究をしているのですから。どの分野でも同じことが言えるでしょう。佐賀大学の教育研究が世界に通用するか、武者修行を始めましょう。
さて、国際化への方法論ですが、デュアル?デグリ-?プログラム(DDP)の考え方に共鳴しています。一つの学位を二つの大学で授与する仕組みですから、学生、教員、教育研究成果等の国際的共有に繋がります。また、DDPは大学間で約束すれば、学科単位で、講座単位で、コ-ス単位で、個々の教員単位で可能です。
国際学部構想は、DDPに挑戦する、武者修行に挑戦する、学科?講座?コ-ス?教員から構成される学部で、DDPを大学全体に広げるミッションを持った国際化推進先導学部と考えています。