平成20年度国立大学法人佐賀大学入学式告辞
はじめて佐賀大学に入学された新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。大学院に進学され、さらに高度な知識と技術の修得を志す皆さんに期待と敬意を表します。 また、ご臨席いただいているご両親?保護者の皆さん、おめでとうございます。本日の入学式は、皆さんが大切に育ててきた子供たちが着実に成長していることの証です。佐賀大学は学生の資質?能力を最大限に引き出します。ご安心ください。
新入生の皆さんは、家族から離れこれまでとは違った環境のなかで生活を送ることになります。皆さんの生活環境は一回り大きくなりました。皆さんの希望と期待に溢れた気持ちが伝わってまいります。
大学生になったご気分は如何ですか。大きなキャンパスは皆さんに開放感を与えてくれるでしょう。その大きなキャンパスのなかで生活している学生や教員、職員はそれぞれの立場?役割を超えて人と人の付き合いをしている、そんな雰囲気を感じませんか。私も新入生の頃味わったこの自由に溢れた雰囲気を今でも思い出します。佐賀大学はこの雰囲気を大切にしています。
このような雰囲気の中で、これからの数ヶ月、皆さんはこれまでにない自由を満喫する一時を過ごします。ゆっくりと自らの将来を考えることが出来ます。本学は年齢、国籍を問わず多種多様な人々によって構成されています。しかし、教育と研究の進展に挑戦する精神と社会の発展に貢献する姿勢は佐賀大学の全ての構成員に共通のものです。皆さんもまた、この共通の精神と姿勢を堅持し、目的を持って活き活きと大学生活を送ってください。佐賀大学の真髄はここにあります。
本年1月、本学は「佐賀大学中長期ビジョン(2008-2015)」を公表しました。皆さんにその一部を紹介しましょう。
21世紀の社会は、環境、エネルギ-、食糧、人口、宗教や民族間の紛争など世界的規模のものから、医療の問題、安全安心な食の問題、若者の安定した生活の保障など私たちの身の回りで起きている課題まで、早急に解決しなければならない課題を抱えています。これらの課題の多くは、人間と自然の関わり方、異なった文化や異なった宗教を持った人間と人間の関わり方に起因するものと考えます。自然と人間、人間と人間の間で、共存、共生するために、人間としての最高のモラルが今日求められています。本学は、佐賀大学憲章において「自然と共生するための人類の「知」の創造と継承に努めます」、また「アジアの知的拠点を目指し、国際社会に貢献します」と宣言しました。
この宣言に沿って、佐賀大学は、教養教育を大学教育の根幹と位置づけ、人間としての在り方や生き方に関する深い洞察力と現実を正しく理解する力を涵養することをその理念とし、すべての学生に対して、
?専門教育の枠組みを超えて共通に求められる知識や思考方法を習得し、
?国際社会に適切にかつ柔軟に対応できる能力を育成する
ことを目指しています。皆さんも明日からこの教育方針のもとで勉学に励み、21世紀の課題を解決する担い手として成長することを願っています。
本年の世界首脳会議G8サミットは我が国の北海道洞爺湖で開催されます。そこで取り上げられる課題の一つは近年の地球温暖化に対する対策です。報道によれば、政府は温暖化対策について各国間の調整に苦慮しているようです。
先月の27日、佐賀大学は環境マネジメント「エコアクション21」の認証を取得しました。全学的な認証取得は国立大学法人として初めてのことです。エコアクション21は、エネルギ-や水の節約、廃棄物量の削減についてISO14001と同様に数値目標を設定するとともに、環境マインドを持った学生の育成、環境技術の研究?開発など大学独自の目標を掲げたものです。エコアクション21の認証取得を契機にエコアクション21学生委員会も発足しました。皆さんもこの委員会に参加して環境と安全に配慮した快適なキャンパスづくりを進めてください。
21世紀は、「人」、「物」、「知財」を始めあらゆるものが地球規模で流動化する時代です。21世紀の社会は、個人と個人の交流を基礎とするグロ-バル化社会へと向かっています。大学のグロ-バル化は、優秀な人材の確保をめぐって急速に進んでいます。 佐賀大学は120の大学を超える海外の大学と学術?教育交流協定を結び、300名以上の留学生が在籍しています。本学はこの交流協定の内容を「ダブル?ディグリ-制度」に発展させたいと考えています。この制度は、協定を結んでいる大学に所属している例えば理工学部の学生は双方の大学から工学士または理学士の学位を認定される制度です。卒業後の就職先は国際的に広がります。皆さんの活躍する舞台は国際社会です。佐賀大学に在学中から国際的舞台にデビュ-する準備をしてください。
最後に、本年度は、佐賀大学の中長期ビジョンのテ-マである「地域と共に未来に向けて発展し続ける大学」を目指して、すべての構成員が英知を結集し、その総合力を活かして持てる力を十分に発揮する大学づくりに着手する初年度です。この記念すべき年に皆さんは入学しました。明日から皆さんも大学づくりの作業に加わってください。今日の感激を忘れずに充実した大学生活を送られることを願っています。
平成20年4月8日
佐賀大学長 長谷川 照
このページのトップへ