平成20年度佐賀大学大学院入学式 (10月期) 告辞
佐賀大学大学院博士前期課程および後期課程に入学された皆さんおめでとうございます。
佐賀大学は、「豊かな自然溢れる風土や諸国との交流を通して育んできた独自の文化や伝統を背景に、地域と共に未来に向けて発展し続ける大学を目指す」と佐賀大学憲章に述べています。佐賀の文化、伝統は、皆さんの頭脳に新たな刺激を与え、知的な発想を豊かにし、多様な知的活動を可能にします。国際的環境の中で育てられるこのような「知」の創造と発見は、国際社会で求められている多様な価値観を生み出す源泉です。
21世紀の社会は、環境、エネルギ-、食糧、人口、宗教や民族間の紛争など地球規模のものから、医療の問題、安全な食の問題、若者の安定した生活の保障など私たちの身の回りで起きている問題まで、早急に解決しなければならない課題を抱えています。
これらの課題の多くは、人間と自然の関わり方、異なった文化や異なった宗教を持った人間と人間の関わり方に起因するものと考えます。自然と人間、人間と人間の間で、共存、共生するために、人間としての最高のモラルが今日求められています。皆さんは、高度な知識と技術を修得するとともに、人間としての在り方や生き方に関する深い洞察力と現実を直視する能力を養ってください。
留学生の皆さんは母国を遠く離れ、言葉、風土、食べ物の異なった環境のなかで、日常生活を送ることになります。入学した感激を忘れることなく、志を堅持して学問に精励してください。これから日本で過ごす期間は、皆さんの人生に貴重な経験を与える数年間となるでしょう。研究活動は予想以上に過酷なものです。十分に健康に配慮して勉学に、研究に取り組まれることを願って、お祝いの言葉といたします。本日は、まことにおめでとうございます。
平成20年10月6日
佐賀大学長 長谷川 照