平成17年度佐賀大学入学式告辞
文化教育学部 | 283名 |
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経済学部 | 310名 |
医学部 | 166名 |
理工学部 | 582名 |
農学部 | 178名 |
計 | 1519名 |
新入生の皆さんご入学おめでとうございます。
また、新入生のご両親、保護者の方々さぞご満足のこととお察しいたします。
教育学研究科 | 49名 |
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経済学研究科 | 11名 |
医学系研究科 | 67名 |
工学系研究科 | 216名 |
農学研究科 | 60名 |
計 | 403名 |
大学院に進学され学問を究めようとする皆さんにお祝いと敬意を表します。
おめでとうございます。
さて、入学された多くの皆さんは今まで家族や保護者の下で生活してきました。これからは大学と言う社会の中で色々な体験をしていくことになります。大学は年齢、性別、国籍の違いを超えた様々な人々で構成される国際社会の雛形と言えます。皆さんは多くの人と出会い、語らい、己を知ることから始まります。多様な社会の中で自己を確立する努力は生涯を通じて行われねばなりません。
ところで、皆さんは、大学はどのような目的をもって、どのような教育をするところと考えていますか。日本国憲法に基づき制定された教育基本法によれば、『教育とは、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない』とされています。
この教育基本法の精神に則って、佐賀大学の教育研究の目的は学則第13条に次のように述べられています。『国際的視野を有し、豊かな教養と深い専門知識を生かして社会で自立できる個人を育成するとともに、高度の学術的研究を行い、さらに、地域の知的拠点として、地域及び諸外国との文化、健康、社会、科学技術に関する連携交流を通して学術的、文化的貢献を果たすことにより、地域社会及び国際社会の発展に寄与することを目的とする』。皆さんはこの学則第13条をじっくりと味わってください。人はなぜ学問をするのか。習得した知識と技術が、さらに深く研究することが、社会と、国と、果ては世界の国々人々と、どのように関わってくるのか。人類は自然と共生できるのか。考えること、成さねばならないことはたくさんあります。教育の意味するところ、学問をすることの大切さを理解してください。
みなさんは佐賀大学という地方大学に入学されました。地方大学は、20世紀の半ば、全国に普く高等教育を普及するために設置されたものです。この50年間の地方大学の成長と卒業生の活躍は目を見張るものがあります。20世紀の急速な科学技術、とりわけインタ-ネット等の情報?メディアに関わる科学技術は著しく進歩しました。また、高速道路?新幹線?航空機など輸送網が整備され時間と空間のギャップは埋められました。とくに教育と研究を進める上で地方大学であることのハンディキャップは克服されてきました。さらに、学問は様々な考えが互いに絡み合い相合作用しながら前進してゆくものです。そして、様々な考えは各地方地域で創られ蓄えられてきた多様な文化から生まれます。文化は人間の精神を育み諸々の発想の源泉となるからです。あらゆる分野で多様性と国際性が求められる今日、わが国の学問全体と地方地域の発展に地方大学の役割は極めて大きくなっています。みなさんの入学した佐賀大学もそのような役割を担っていることを理解してください。
昨年の4月に佐賀大学は法人化され、国立大学法人佐賀大学によって改めて設置されました。日本は少子高齢化の進んでいる典型的な国です。また、環境問題をはじめ多くの問題を抱えています。新しい文明は新しい問題を生み出すものです。大学は生涯を通じて学習し自己改革をする場であるとともに難問を抱える社会の要請に応える場としてその役割を広げなくてはなりません。法人化は大学が名実共に社会に開かれた大学となる組織改革であると理解してください。そのために法人佐賀大学は四つの目標をかかげました。
第一の目標は、学生中心の大学です。20世紀は科学技術が社会を引っ張ってきました。その結果、ともすれば私たちは科学技術に偏重したバランスの崩れた社会に住んでいます。科学技術優先の社会を正し、変革するとき必ず教育改革から始まるのが常道です。今は教育が社会を先導していく時代です。佐賀大学はそれに相応しい教育を展開する必要があります。そして新しい教育は我々とみなさんとの共同作業によって生まれてくるものです。
第二の目標は、地域に貢献し地域に支えられる大学であることです。佐賀大学は過去2年間に亘って文部科学省の「地域貢献特別支援事業」に採択され、佐賀県内の広い範囲でさまざまな分野で事業を展開してきました。今年度、地域で学んだ経験を教育プログラムに採り入れる、あるいは医学系を中心に文系、理系が協力して新たな教育プログラムを開発することに挑戦します。教育活動それ自体が佐賀地域の再生活性化に繋がることを願っていますが、みなさんの協力なしでは実現いたしません。
第三の目標は国際化の促進です。昨年、政府が進めてきた留学生10万人計画が達成されました。最近の国際的な学術?教育交流の潮流は、学生が交流している複数の大学から同時に学位を授与されることを求める傾向にあります。現在、300名を超える留学生が本学で学んでいますが、海外に留学を希望する日本人学生はその十分の一以下です。是非、佐賀大学在学中に海外に留学することを考えてみてください。
第四の目標は21世紀COEと云われる研究教育拠点の育成です。海洋エネルギ-研究センタ-は本年度から全国共同利用センタ-として発足します。佐賀県のシンクロトロン光施設は本格的に動き出します。また、有明海の再生?環境保全に向けて全学の総力を挙げて取り組みをはじめました。ロ-カルな発想がグローバルに展開する処方?方法論は佐賀大学の得意とするところです。みなさんもその処方?方法論を学んでください。
最後に、佐賀大学の教育と研究の四つの目標を達成するために、何よりも世界が平和であることが必要です。さらに、人類が自然と調和のとれた営みを続けるために、佐賀大学は「知」の継承と創造を担う責任を果たさねばなりません。皆さんもまた今日から知の継承と創造に努め世界の平和に尽くす覚悟を決意されることを期待して告辞といたします。
平成17年4月5日
国立大学法人佐賀大学長
長谷川 照
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